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事務所だより 1月号

2024/1/18 木曜日

新たな年を迎え、皆様にとってご多幸がありますようお祈りいたしております。

本年も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

=-=-= 目次 -=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-=-
◆ 2024年1月の税務
◆ 2割特例の適用に「不適用届出書」提出が必要な場合がある
◆ 会社役員の社会保険加入は義務?
“税”であっても税理士業務対象外の印紙税その他の税
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◆ 2024年1月の税務

1月10日
●前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は前年7月から12月までの徴収分を1月22日までに納付)

1月31日
●支払調書の提出
●源泉徴収票の交付
●固定資産税の償却資産に関する申告
●11月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税
●5月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●給与支払報告書の提出

○給与所得者の扶養控除等申告書の提出(本年最初の給与支払日の前日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分)(1月中において市町村の条例で定める日)

 

◆ 2割特例の適用に「不適用届出書」提出が必要な場合がある

▽令和5年10月31日付国税庁の周知依頼
 インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になった事業者には「2割特例」という3年間の納税の経過措置が設けられています。
 これに関して、国税庁から、「インボイス発行事業者の登録申請書のほか、インボイス制度開始の日(令和5年10月1日)を含む課税期間に係る『消費税課税事業者選択届出書』を提出している場合には、課税時間の末日までに『課税事業者選択不適用届出書』を提出しないと2割特例が適用されなくなるから要注意!!」ということを周知してもらうよう日本税理士会連合会宛に依頼がありました。

▽何らかの理由で選択していたら再度検討を
 インボイス制度を機に免税事業者からインボイス発行事業者として課税事業者になる場合には、インボイス発行事業者の登録申請書を提出すれば、インボイス制度開始の日(令和5年10月1日)からインボイス発行事業者となり、同日から課税事業者となっています。同日からの適用であれば、「消費税課税事業者選択届
出書」の提出は不要でした。
 しかしながら、何らかの理由(=たとえば、令和5年10月1日より前に設備投資等がありその消費税還付目的があったなど)で、「消費税課税事業者選択届出書」を提出していた場合には、国税庁からの周知にある追加手続きをすべきか否か、再度、納税額のシミュレーションをし直して、対応を確認する必要があります
 予定通り設備投資等がなされていれば当初の選択通りでよいかもしれませんが、経済事情の悪化等で設備投資が先延ばしされていた場合などには、見積納税額の計算のし直しが必要となるでしょう。

ギリギリまで検討できるが早めに対応を
 通常、消費税の課税選択等の適用申請は、適用を希望する「課税期間の初日の前日までに」とされています。
 しかしながら、経過措置関連では、「課税期間の末日までに」という措置が取られており、今回の「2割特例適用のための『課税事業者選択不適用届出書』の提出も課税期間の末日までに」とされています。
 どちらが得なのか、損をしないのかのシミュレーションをする時間は課税時間の末日までありますが、通信環境システムの不具合などで遅れることのないように、早めに対応した方が良いでしょう。

 

◆ 会社役員の社会保険加入は義務?

▽社会保険適用範囲の拡大で加入該当者増
 企業や一定の団体などで働く人は原則社会保険に加入します。パートやアルバイト等で勤務の時間や日数が少なく加入しない場合もありますが、最近は適用範囲が広がり加入該当者は増えています。
 社会保険は生活や仕事で起こる様々なリスクに備えるための制度です。病気やケガ、介護、失業、高齢になった時の生活保障等の事象が起こった時に給付を行い、生活を支えます。健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険、労災保険があります。一方雇用されていない役員はどのような加入条件なのかをみてみたいと思います。

▽社会保険加入の条件は
 まず社会保険の加入の条件を確認します。法人は基本的に社会保険に加入する必要があります。会社を設立した時は「適用事業所」となります。ただし、以下の時は適用事業所にはなりません。
・従業員が5人未満の個人事業所、理美容業、飲食業など
・農林漁業の個人事業所
 続いてそこに働く人が社会保険の加入条件を満たしているかどうかです。対象となる人は会社の代表者、会社の役員(一定の条件有)、正社員、パートやアルバイトで会社の1週間の所定労働時間の4分の3以上の労働時間、労働日数で働く人です。
 ただし、4分の3未満でも従業員101人以上の企業(2024年10月から51人以上)で働く人で週の所定労働時間が20時間以上、勤務期間が2か月以上の見込み、月額賃金8万8千円以上で学生以外の人は対象となります。

▽会社役員の社保加入の判断は?
・役員報酬がない場合、加入義務はない
・役員報酬が払われていれば加入対象
 ただし、非常勤の役員に加入義務はない
・定期的に出勤するなど、常勤の役員か
・役員会等への参加、経営に参画している
・仕事内容に見合った役員報酬
・他の会社との兼務はあるか等
 また、会社役員は基本的に労災保険・雇用保険の対象外ですが労災保険は特別加入制度があります。また、兼務役員などで一部は労働者の業務を行っているときは労災保険や雇用保険も対象にされる場合があります。「兼務役員雇用実態証明書」を所轄のハローワークに提出しておきましょう。

 

“税”であっても税理士業務対象外の印紙税その他の税

▽“税”のことなら税理士に聞け!?
 紙の契約書を作成したり、5万円以上の金額を受領したりした際に貼り付けて消印(割り印)を押しておかなければならないのが印紙税です。それを忘れて税務調査で指摘を受けると、最大で納付すべき印紙税×3倍の本税+過怠税が発生します。重いです。
 “この文書の作成には印紙の貼付が必要か?金額はいくらか?”となると関与先会社は、“税のことだから顧問税理士に聞け”となります。問い合わせを受けると何とか調べて回答しますが、じつは税理士はよくわかっていません。業務対象外なのです。

▽印紙税は税理士業務の対象としない租税
 税理士が業務の対象とする税は、税理士法で決まっています。「税理士は、他人の求めに応じ、租税に関し、税務代理や税務書類の作成及び税務相談を行うことを業とする」と決められていますが、その対象とされる租税から、印紙税は除かれています。
 万一、印紙税で税務上の問題が発生しても、税理士は納税代理人となれません。
 他に除かれている税金は、登録免許税、自動車重量税、電源開発促進税、国際観光旅客税、関税、とん税、特別とん税及び狩猟税並びに法定外普通税及び法定外目的税です。登録免許税や自動車重量税そして関税なども一般の事業会社にもなじみのある税金ですが、税理士業務の対象外です。
 「法定外税」とは、地方税法に定めがなく、各地方自治体の条例で定められる地方税です。具体的には、法定外普通税では「核燃料税(原発のある都道府県)」他、法定外目的税では、「宿泊税(東京都)」、「産業廃棄物税(多くの都道府県)」他があります。

▽印紙税等税理士業務外は会社主体で調べる
 会社の儲けに対して課税される法人税や事業税・法人住民税は税理士業務であることが明らかですが、その他の税金でもわからないことがあったら、まずは顧問の税理士に聞いてみましょう。たぶん、業務対象外と前提を示したうえで、何らかの解説や説明はしてくれるものと思います。
 ただし、印紙税などの税理士業務の対象外の税金については、税理士は責任を負えません。あくまでも会社が主体となって納税関係の対応に当たることになります。不明点は、国税庁のサイトをよく読み、税務署に相談するなどしてください。