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事務所だより 12月号

2023/12/04 月曜日

街路樹の落葉が歩道や車道に舞い散る季節になりました。
秋から冬へ、季節の流れは早いものですね。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

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◆ 2023年12月の税務
◆ 通勤手当の税と社会保険
◆ 親子会社間での配当源泉不要
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◆ 2023年12月の税務

12月11日
●11月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額・納期の特例を受けている者の住民税の特別徴収税額(当年6月~11月分)の納付

翌年1月4日
●10月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税
●4月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の1月、4月、7月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の9月、10月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(8月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

○給与所得者の保険料控除申告書・配偶者控除等申告書・住宅借入金等特別控除申告書の提出(本年最後の給与の支払を受ける日の前日)
○給与所得の年末調整(本年最後の給与の支払をするとき)
○固定資産税(都市計画税)の第3期分の納付(12月中において市町村の条例で定める日)

 

◆ 通勤手当の税と社会保険

▽通勤手当と所得税
 給与所得者に支給する通勤手当については、非課税限度額が設定されていて、その金額までの支給であれば、支給された通勤手当には所得税がかからない仕組みになっています。
 非課税限度額は
 ●交通機関又は有料道路を利用している人の場合:1か月最高150,000円
 ●自動車・自転車などを使用している人に支給する場合:片道55キロ以上1か
月最高31,600円~片道2キロ以上10キロ未満1か月最高4,200円
 ●交通機関の通勤用定期券を支給の場合:1か月最高150,000円
等となっています。なお、通勤距離が片道2キロ未満で自動車や自転車などを使用している人に支給する通勤手当は全額課税となります。
 規定されている額よりも多く通勤手当を支給した場合、超過分は給与として課税されます。

▽通勤手当と社会保険料
 通勤手当は限度額までは所得税は非課税なのに対して、社会保険料の算定に利用する標準報酬月額には含めて計算することになっています。
 所得税と社会保険の扱いの差は、所得税は「職場に行くための手当は結果的に手元に残らないから非課税」という考え方で、社会保険料は「労働の対価として定期的に受けた労働者の生計に充てられる手当なので計算に入れる」という考え方の違いのようです。

▽通勤手当とインボイス
 適格請求書等保存方式の下では、帳簿及び請求書等の保存が仕入税額控除の対象となります。ただ、社員に支給する通勤手当については、社員が適格請求書発行事業者ではないため、適格請求書の交付を受けることができません。そのため通勤者につき通常必要と認められる部分については、特例で記帳のみの保存で仕入税額控除が認められています。
 また、この「通常必要と認められる部分」については、所得税の非課税限度額を超えているかどうかは問わないため、所得税の非課税限度額との条件を混同しないように注意しましょう。

 

◆ 親子会社間での配当源泉不要

▽非上場株式の配当に係る源泉税
 親法人が受取る子法人からの配当等は所得税の課税対象であり、配当等の支払いをする子法人は、配当等の支払時にその配当等の額の20.42%(所得税及び復興特別所得税、子法人が上場株式発行企業の場合は15.315%)の源泉徴収をしなければなりません。その後、親法人が法人税の確定申告をする時に、源泉徴収された所得税について所得税額控除の適用を受けると、税額控除又は還付金の支払いがされます。

▽10月1日からの新制度
 この配当源泉徴収の取扱いについて、完全子法人株式等(持分割合100%)と関連法人株式等(持分割合3分の1超)に該当する法人からの配当等については、源泉徴収を不要とするとの法律・政令が今年(2023年)10月1日に施行されます。

▽配当での新規定の利便点
 なお、M&Aなどでの株式取得の場合で、株式取得から配当までの期間が短い時、持分割合100%の子法人からの配当であったとしても、上記特例の完全子法人株式等からの配当に該当しないことがあります。
 受取配当等の益金不算入の規定を踏まえて、配当等の額の計算期間の初日から計算期間の末日まで(1年超の場合は1年)の期間、引き続きその持分割合100%の株式を継続保有していることが必要との要件が付されているからです。
 ただし、関連法人株式等についての判定では、受取配当等の益金不算入の規定の6ヶ月間継続保有規定と異なり、配当支払者側での実務上の処理可能性への便宜的配慮として、配当等の額に係る基準日の状況で判定とされています。従って、完全子法人株式等に該当しなかったとしても、配当基準日の持株割合で関連法人株式等に該当すれば、結果的に源泉徴収不要にはなってしまいます。
 それから、100%や3分の1超の持分割合の判定は、受取配当等の益金不算入の規定が間接支配を経由したみなし直接支配で判定することにしているのと異なり、配当支払法人にとって直接100%や3分の1超の関係になっているかで判定するものとされています。
 支払配当の源泉徴収の要・不要の要点が実務処理への便宜の配慮に置かれていることが、推測されます。