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事務所だより 3月号

2023/3/20 月曜日

春の陽気が待ち遠しい今日この頃、いかがお過ごしですか。

それでは、今月の事務所だよりをお届けします。

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2023年3月の税務
令和5年度税制改正大綱 消費課税編
◆コロナ対策の重荷で雇用保険料引き上げ
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▽2023年3月の税務

3月10

●2月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

3月15

●前年分贈与税の申告(申告期間:21日から315日まで)
●前年分所得税の確定申告(申告期間:216日から315日まで)
●所得税確定損失申告書の提出
●前年分所得税の総収入金額報告書の提出
●確定申告税額の延納の届出書の提出(延納期限:531日)
●個人の青色申告の承認申請(116日以後新規業務開始の場合は、その業務開始日から2ヶ月以内)
●個人の道府県民税・市町村民税・事業税(事業所税)の申告
●財産債務調書・国外財産調書の提出(令和4年分。令和5年分以降は630日)

3月31

●個人事業者の前年分の消費税・地方消費税の確定申告
●1月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●1月、4月、7月、10月決算法人及び個人事業者(前年12月分)の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者(前年12月分及び当年1月分)の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●7月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の4月、7月、10月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の12月、1月決算法人を除く法人の1月ごとの中間申告(11月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>

 

▽令和5年度税制改正大綱 消費課税編

◆小規模事業者の納税額を2割負担に軽減
 フリーランスなど免税事業者が、令和5年10月1日から令和8年930日までの日の属する各課税期間にインボイス発行事業者となった場合、税額負担を2割に軽減する措置が適用されます。みなし仕入率が80%の簡易課税制度と同じ計算方法となります。特例の選択は、申告時に確定申告書に付記することで行えます。
 この特例は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び、令和5年101日前から課税事業者を選択している事業者には適用されません。
 特例の適用を受けたインボイス発行事業者が、適用を受けた課税期間の翌課税期間中に簡易課税制度選択届出書を提出したときは、その提出した課税期間から簡易課税制度の適用を受けることができます。

 

◆インボイス交付の事務負担を軽減
(1)
一定規模の事業者は帳簿のみ保存で可
 基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者は、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの課税仕入れが1万円未満の場合、帳簿のみの保存で仕入税額控除ができるようになります。
(2)
1万円未満の値引はインボイス不要に
 売上げに係る対価の返還等が1万円未満の場合(1回の取引の課税仕入れに係る税込金額で判定)、適格返還請求書の交付義務が免除されます。これにより振込手数料相当額が控除されて支払を受ける場合も、返還インボイスの交付は不要となります。

 

◆インボイス登録制度見直しと手続き柔軟化
 免税事業者がインボイス登録申請書を提出し、課税期間の初日から登録を受けようとする場合、当該課税期間の初日から起算して15日前の日(現行は当該課税期間の初日の前日から1か月前の日)までに登録申請書を提出するよう期限が緩和されました。 
 また、インボイス発行事業者が登録の取消しを求める届出書を提出し、翌課税期間の初日から登録を取り消そうとする場合は、その翌課税期間の初日から起算して15日前の日(現行はその提出があった課税期間の末日から30日前の日の前日)までに届出書を提出するよう期限が緩和されました。
 なお、令和5年10月1日からインボイス登録を受けようとする事業者が登録申請書を令和5年3月末までに提出できなくなった場合、「困難な事情」の記載がなくても、4月以降に登録申請できるようになります。

 

▽コロナ対策の重荷で雇用保険料引き上げ

20234月から0.2%引き上げ
 厚生労働省の労働政策審議会は雇用保険料を20234月から0.2%引き上げることとし、労使が負担する保険料率は賃金の1.35から1.55に上げることを了承しました。労働者の料率は0.5%から0.6%に、事業主は0.85%から0.95%と0.1%ずつ上がります。新型コロナ禍の雇用下支えが長期化し財源の枯渇を招いたのです。

◆財源の正常化遅れる
 雇用保険制度は保険料を事業主と労働者が負担する「失業等給付」と「育児休業給付」、事業主のみが負担する「雇用保険2事業」の3つの区分があり、改定は失業給付向けの保険料だけを改定します。コロナ禍で膨大な資金を使ったためで、従業員の休業時などに支給する雇用調整助成金は支給要件を大幅に緩和したこともあり、202212月初旬で62千億円を超えて支給しました。
 雇調金は2事業の積立金から支払うことになっていますが、不足したため失業給付積立金から借り入れる事態となったのです。 
もともと失業給付の積立金は潤沢であったので保険料率を法定の原則より下げた状態が続きましたが、今回の引き上げ改定で原則に戻ることになります。
会社の支出が増えるほか手取りも減るので経営者が賃上げしても労働者に実感してもらいにくい状況ではあります。

◆雇調金で失業抑制の一方で
 世界の主要国はすでにコロナ禍で特例的に実施した雇用の下支えは終了していますが、日本は20233月に終了を予定しています。労働政策研究機構によると英米はコロナ禍直後に集中的に下支えを実施、21年度中に終了したところもあり、世界的に雇用下支えの縮小、終了となってきています。
 厚労省は雇用調整助成金で失業率を抑制できた、100万人規模の雇用を守ったと試算しています。一方で雇用調整助成金は、企業が過剰労働力を抱えているのに労働市場に出る求職者を減らす面があります。雇用を守り失業を防ぐ半面、新規労働市場に出る求職者が減ってしまうということがあります。足元では人手不足にも対処しなくてはなりません。成長分野への労働移動を阻害しないように努める必要もあります。