事務所だより 1月号
新たな年を迎え、皆様にとってご多幸がありますようお祈りいたしております。
本年も変わらぬお付き合いをお願い申し上げます。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
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◆ 2025年1月の税務
◆ 児童手当の変更 所得制限廃止・手当の拡充
◆ 相続不動産登記改正一覧
◆新リース会計基準について
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◆ 2025年1月の税務
1月10日
●前年12月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付(年2回納付の特例適用者は前年7月から12月までの徴収分を1月20日までに納付)
1月31日
●支払調書の提出
●源泉徴収票の交付
●固定資産税の償却資産に関する申告
●11月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●5月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、8月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の10月、11月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(9月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●給与支払報告書の提出
○給与所得者の扶養控除等申告書の提出(本年最初の給与支払日の前日)
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第4期分)(1月中において市町村の条例で定める日)
◆ 児童手当の変更 所得制限廃止・手当の拡充
▽令和6年10月1日から児童手当制度改正
この改正は子育て支援の強化を目的にしていて、子供を育てる従業員の生活に密接に関わりがあります。
児童手当が家計の一部の支えにもなっている世帯も多いかもしれません。定期的に支給される児童手当は年間総額にするとまとまった金額になります。ただ、今までの制度では保護者の収入に伴う支給制限もあり児童手当を受けることができない世帯も少なくなかったでしょう。
このたび児童手当の拡充が行われ、保護者の所得制限は撤廃されました。また、さらに中学生までだった対象者が高校生年代も支給対象者となりました。
さらに、支給額も増額されています。
▽改正点の詳細は
(1)支給対象が拡大(所得制限の撤廃、年齢上限の拡大)
これまでの児童手当は各世帯の主たる生計者の所得額に応じて支給額が制限されていました。主な生計者の収入が一定額を超える場合は子供の年齢に関係なく、児童手当の額が下がるか支給されなくなるとされていました。このような所得による制限を撤廃することとし子供を養育するどの家庭にも児童手当を支給するのが一つの大きな改正点です。
(2)年齢制限と支給額の拡大
いままでの児童手当は中学校卒業(15歳になった後の最初の3月末日)までが支給対象となっていましたが今後は子供が高校生年代(18歳に達する日以後の最初の3月末日まで)になるまで支給されます。
支給される金額は月1人当たり0~2歳は1万5千円、3歳~小学生1万円、中学生1万円、新しく設定された高校生年代1万円、第3子以降は0歳~18歳3万円に増額されました。
(3)支給時期の変更
児童手当の支給時期が年3回から隔月(偶数月)の年6回に変更されました。
新たに児童手当の支給対象となる方は、令和7年3月31日までに市区町村へ申請を行うと令和6年10月分から手当を受けられます。
◆ 相続不動産登記改正一覧
▽相続登記の申請の義務化(2024.4.1施行)
相続等により不動産を取得した相続人は、その所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記の申請を行う必要があります。また、遺産分割協議が行われた場合は、遺産分割が成立した日から3年以内に、その内容を踏まえた登記を申請する必要があります。これらの登記懈怠には10万円以下の過料が課せられます。
なお、遺産未分割で、相続登記不可の場合は、自分が相続人であることを法務局の登記官に申し出れば、相続登記の申請義務履行とみなされます。
▽10年経過遺産の相続分(2023.4.1施行)
被相続人の死亡から10年を経過した後の遺産分割は、原則として法定相続分によって画一的に行うこととされます。
▽住所変更登記義務化(2026.4.1施行)
登記簿上の不動産の所有者は、所有者の氏名や住所を変更した日から2年以内に住所等の変更登記の申請を行う必要があります。登記懈怠には5万円以下の過料が課せられます。
なお、公的機関間情報による登記官職権登記も始まるので、この職権登記があると、住所等の変更登記の申請義務は履行済みとなります。ただし、自然人の場合には、本人の了解が前提です。
▽DV被害者保護登記(2024.4.1施行)
DV被害者等を保護するため登記事項証明書等に現住所に代わる事項を記載する特例があります。
▽所有不動産記録証明制度(2026.2.2施行)
不動産登記名義人の住所と氏名を全国的に一括して調査し、所有不動産記録証明書というリストで証明する制度が始まります。被相続人名義の不動産だけでなく、存命の名義人や法人名義の不動産も調査できます。
請求人は本人、相続人、法定代理人等に限定です。
▽相続土地国庫帰属制度(2023.4.27施行)
国庫帰属申請をするには、1筆の土地当たり1.4万円の審査手数料が必要であり、審査を経て承認されると、10年分の土地管理費相当額の負担金が必要です。負担金額は原則20万円です。
▽共有制度の見直し(2023.4.1施行)
共有物に軽微な変更では、全員の同意は不要、過半数持分で決定、所在等不明共有者については、地方裁判所決定を経て、所在等不明共有者の所有権無視で、持分取得や第三者への譲渡も可能となりました。
◆新リース会計基準について
▽リース会計基準改正の公表
2024年9月13日、企業会計基準委員会が「リースに関する会計基準」の改正を公表しました。新基準は国際基準との整合性を図り、リース取引を財務諸表により正確に反映するためのものです。
▽新たなルールのポイント
今回の改正では、借手のすべてのリースを資産と負債に計上する「単一の会計処理モデル」を採用します。オペレーティング・リースを含むリース契約を「使用権資産」として資産計上し、リース料の支払い義務を「リース負債」として負債に計上することが求められます。これにより、リースの実態がより透明性を持って財務諸表に示されることになります。
▽適用日と早期適用について
新基準の適用開始日は2027年4月1日以降に始まる連結会計年度および事業年度からとなります。ただし、2025年4月1日以降に始まる年度からの早期適用も認められています。
▽すべてのリースを財務諸表に計上
新基準では、従来貸借対照表に計上されていなかったオペレーティング・リースも含め、すべてのリースが計上対象になります。これにより、リース取引の内容が財務諸表により正確に反映され、企業の資産・負債状況が明確に示されます。経営判断の透明性が高まり、財務報告の信頼性が向上する点が新たなルールの特徴です。
▽財務指標への影響に注意
リース負債の計上により、自己資本比率や負債比率などの財務指標に変動が生じる可能性があります。特に中小企業では、信用評価や金融機関との取引条件に影響を及ぼすことが予想されます。そのため、早めにリース契約や資金計画を見直し、新基準適用の影響を把握することが必要です。
▽今後の対応策
適用日までに十分な準備期間はありますが、早めの対応が求められます。まずは現在のリース契約を精査し、新基準に基づく会計処理の対象となるリースを特定しましょう。また、専門家と連携し、財務諸表への影響を最小限に抑える戦略を立てることも有効です。新基準への適切な対応は、企業の財務健全性を維持するために欠かせないものです。