事務所だより 10月号
秋の気配も次第に濃くなり、穏やかな季節になってきました。
いかがお過ごしでしょうか。
それでは、今月の事務所だよりをお届けします。
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◆ 2022年10月の税務
◆ 財産債務調書制度等の見直し
◆ 株式の譲渡所得の計上日
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◆ 2022年10月の税務
10月11日
●9月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付
10月17日
●特別農業所得者への予定納税基準額等の通知
10月31日
●8月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税>
●2月、5月、8月、11月決算法人の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●2月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の2月、5月、11月決算法人の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の7月、8月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの中間申告(6月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第3期分)(10月中において市町村の条例で定める日)
◆ 財産債務調書制度等の見直し
▽財産債務調書とは?
令和4年度税制改正において、令和5年分以後の「財産債務調書」の提出義務者
・提出期限などについての見直しが行われました。
財産債務調書は、
(1) その年分退職所得を除く各種所得金額の合計額が2,000万円を超える方
(2) (1)の方の中でその年の12月31日において、合計額が3億円以上の財産又は1億円以上の有価証券や未決済信用取引等の国外転出特例対象財産を有している方
(3) または、その年の12月31日において、10億円以上の財産を有する方が提出義務者となっている、財産の種別や数量、価格等を税務署に知らせるものです。
(3)については令和4年度税制改正において追加された事項になります。
▽改正で柔軟化
提出期限については翌年の3月15日が6月30日へ延長されました。また、記載を簡略化できる範囲が拡大されたものがあります。
家庭用動産については改正前は取得価格が100万円未満の場合、記載を省略できましたが、改正後は300万円未満に拡大されました。
事業用の未収入金や事業の用に供する未払金等は、100万円未満であれば件数や総額で記載してよいとなっていたものが、改正後は300万円未満となりました。
預入高が50万円未満の預貯金口座については、預入高の記載を省略可能になりましたが、その場合は備考欄等に口座番号の記載が必要です。
▽アメとムチは変わらず
財産債務調書を提出期限内に提出した場合には、調書に記載がある財産債務に関して、所得税等・相続税の申告漏れが生じた場合、その財産債務に係る過少申告加算税等が5%軽減されます。
逆に、調書を提出期限内に提出しなかった場合や、提出された調書に記載すべき財産債務の記載がない場合、所得税等の申告漏れが生じた時は、その財産債務に係る過少申告加算税等が5%加重されます。
◆ 株式の譲渡所得の計上日
事業承継に伴い、個人が中小企業の非上場株式を相対で譲渡する契約を締結し、翌年に引渡しとなる場合、譲渡所得の計上は、原則、翌年になりますが、選択により、契約した年の譲渡所得とすることもできます。
個人が上場株式を譲渡する場合や、法人が譲渡する場合の取扱いも含め、株式譲渡所得の計上時期をみてみましょう。
▽約定日と受渡日
証券会社で株式を売却すると、取引報告書に、約定日と受渡日の記載があります。約定日とは、売却注文を行った日。受渡日とは、株式を相手に引渡し、売却代金を入金した日です。売却代金と株式の受渡しは、売買が成立(約定)してから、その日を含め、3営業日目に行われます。例えば月曜日の売り注文は、水曜日の受渡しとなります。
▽個人が株式を譲渡した場合
個人が証券会社に委託して株式を売却した場合、譲渡所得は原則として受渡日に計算します。特定口座で売却する場合は、その年の1月1日から12月31日までの
間に受渡日が含まれる譲渡損益で計上します。
上場株式を一般口座で売却する場合、相対で非上場株式など一般株式の譲渡の場合は、原則、受渡日で譲渡所得を計算しますが、納税者の選択により、約定日で譲渡所得を計算することもできます。
▽法人が株式を譲渡した場合
法人が株式を売却した場合の譲渡損益の計上時期は、平成12年改正前まで引渡日基準でした。しかし、企業会計に金融商品会計基準が公表され、有価証券の譲渡損益は約定日基準で計上することとされたことを踏まえ、税法も平成12年改正で約定日基準となりました。これは有価証券の受渡しが不履行となるリスクが極めて低いこと、約定日からの時価の変動リスクは買手側に生じることによるとされています。
また、簡便法として、年中は引渡日基準で譲渡損益を計上し、事業年度末に未引渡し分の譲渡損益を併せて計上する修正受渡日基準も継続適用を条件に認められました。
▽非上場株式の譲渡で注意すること
非上場株式を譲渡する場合、譲渡制限のある株式の譲渡は、取締役会または株主総会の譲渡承認が必要です。株式の譲渡者が株主名簿に記載されていること、譲渡後、取得者に名義書換が行われることを確認すること。株式譲渡は、消費税は非課税、領収書の交付も忘れないようにしましょう。